☆ネタバレご注意☆
小説『フランケンシュタイン』後半部の展開がわかる引用です
※蛇足ながら、「フランケンシュタイン」は怪物(人造人間)を作った人物の名前です。以下はその怪物が自分を作った「創造主」に対する感情を吐露する場面で、彼の苦悩が凝縮されていると思います。語り手は第三者です。
相手は止まって、驚いたようにぼくを見ました。
それからまた創り主の息絶えたからだに目をやると、
ぼくのことなど忘れたように、顔つきもしぐさも、
何か抑えのきかない激情に揺り動かされた様子でした。
「これもまたわが犠牲!」
と彼は叫びました。
「彼を殺しておれの罪は完成された。
このみじめな生もやっと終わりにたどりついたのだ!
おお、フランケンシュタイン! 寛容と献身の人よ!
今さら赦しを請うて何になる?
自分がしたのはとりかえしもつかぬこと、
おまえの愛する者すべてを滅ぼして
おまえを滅ぼすことだったのだ。
ああ、もう冷たい。答えてはくれない」
メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』(森下弓子訳・創元推理文庫p.291)
[2010年2月14日 (日)元投稿]
(「ココログ「としま腐女子のいろいろ読書ノート」より引っ越し)
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フランケンシュタインはとても好きな作品で、ほかでも関連コンテンツを(結果的に)作っております。よかったら合わせてどうぞ。
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フランケンシュタイン:ナショナルシアターライブ レビュー
英国で上演された舞台版フランケンシュタイン(ベネディクト・カンバーバッチ&ジョニー・リー・ミラーのダブルキャスト)を、日本でのライブビューイングで見比べたレビューです。原作からの脚色部分なども書いております。大変すばらしい舞台でした!
◆【ブログ】ピーター・カッシング~怪奇と耽美と美老人~:
『フランケンシュタイン・恐怖の生体実験』(1969)を再見
1950-70年代のハマー映画シリーズでフランケンシュタインを演じた、ピーター・カッシングのファンブログをやっております。(現在はお誕生日の5/26頃に更新する程度です)
ハマーのフランケンシリーズは原作小説とはかなり別物になっていますが、その中で一番好きな『…恐怖の生体実験』のレビューにリンクを張りました。「これはこれ」として超おすすめです❤
シリーズ一作目の『フランケンシュタインの逆襲』(小説の脚色作品。なぜか一作目なのに邦題は「逆襲」)の感想が見当たらず、探したらブログ以前の日記にメモ程度に書いたきりのようです。自分でも意外です☆