読みやすさのために適宜改行や強調(太字化)を加えています。

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【イベント参加予定】2024/5/19 文学フリマ東京38 / 2024/5/26 COMITIA 148

2021/04/29

「心一杯に懺悔して」



心一杯に懺悔して、

恕(ゆる)されたといふ気持ちの中に、再び生きて、

僕は努力家にならうと思ふんだ——


中原中也『(吹く風を心の友と)』(『中原中也詩集』・新潮社・未刊詩篇 p.235)


[2009年9月21日 (月)元投稿]
(「ココログ「としま腐女子のいろいろ読書ノート」より引っ越し)


*国語の授業でもらったプリントで初めて読んだ詩のなかの一節です。学校教材というだけで反感を抱きがちな生徒だったのですが(笑)、このへんの詩(中也さんのほかに萩原朔太郎さん、茨木のり子さんなど)は自力では手を出さない分野だったので、知ったきっかけはいずれも国語のプリントでした。ずいぶん昔のことですが、当時の先生に感謝です❤(^^)

2021/04/21

「他人に聞いてもらうことではなく、 正気を保つことによってこそ」

奇妙なことに、時報が彼に新たな勇気を注入したようだった。
自分は誰も耳を貸そうとしない真実を声に出す孤独な幻。
しかし声を出している限り、
何らかの人目につかない方法によってでも、
真実の継続性は保たれる。

他人に聞いてもらうことではなく、
正気を保つことによってこそ、
人類の遺産は継承されるのだ。

彼はテーブルに戻り、
ペン先をインクに浸し、
書いた――


ジョージ・オーウェル『一九八四年〔新訳版〕』(高橋和久訳・早川書房)p.45


[2009年7月26日 (日)元投稿]
(「ココログ「としま腐女子のいろいろ読書ノート」より引っ越し)


☆じつは大好きな英国俳優ジョン・ハートやピーター・カッシングの主演作品原作でもあるので、そちらのご紹介も含めた感想を個人ブログの方にアップしております。ちょっと前の記事ですが、よかったら合わせてご覧ください☆

「人は愛されるより理解されることを望むものなのだろうか」/『一九八四年』新訳版
(牛乃の日記:2013/06/04)


2021/04/15

「全体像が見えている時は、 人間は簡単にはあきらめないものだ」



最初の二、三日は、
ネイグルの立てた潜水計画に厳密にしたがって〈ドリア〉に潜った。
見つからなかった。鐘はなかった。

その時点で、どんなタフなダイバーでも、
あきらめて引き返そうと考えただろう。

長さ二〇メートルの船で大西洋の外界に一日出ただけでも、
はらわたの表裏がひっくり返るほどの揺れを経験する。

長さ一〇メートルの栄光の浴槽(バスタブ)で四日が過ぎた。

が、全体像が見えている時は、
人間は簡単にはあきらめないものだ。


ロバート・カーソン『シャドウ・ダイバー 深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち(上)』(上野元美訳・早川書房)p.36


[2009年6月17日 (水)元投稿]
(「ココログ「としま腐女子のいろいろ読書ノート」より引っ越し)

2021/04/07

「道徳は大部分、支配階級の利益と感情から生まれたものである」

支配的な階級がある国では、その国の道徳、
つまり社会道徳は、かなりの部分、
支配的な階級の自己利益と優越感から生まれている。

古代スパルタの市民と奴隷、
アメリカの植民者と黒人、
国王と臣民、
領主と農奴、
男と女
などの関係を規定する道徳は大部分、
支配階級の利益と感情から生まれたものである。


ジョン・スチュアート・ミル『自由論』(山崎洋一訳・光文社)p.21


[2009年5月27日 (水)元投稿]
(「ココログ「としま腐女子のいろいろ読書ノート」より引っ越し)



2021/04/01

「『政治的に可能』かどうかは気にしないようにした」

 私はしばらく間をおいてから、冷ややかに答えた。

「ああ、やっとわかりました。あなたがいまいったことを、
ボリビアの友人たちに説明させてください。
あなたはシティバンクに電話して、
ボリビアの政策が適切かどうか尋ねるつもりなんですね?
つまり、IMFの債務戦略は銀行の思惑しだいということですか?」

代表団長は怒りをあらわにして本を閉じ、
立ち上がって、話し合いは終わりだった。

(中略)

ところが面白いことに、それ以後、IMFは二度とボリビアに
利子支払い再開の要求をしなくなったのだ。

(中略)

たぶん未熟さゆえだろうが、
私は赤字削減のために型破りな方法が
必要だと思っただけでなく、
それが可能だと信じた。
そんな思い込みは結局、正しかった。

それ以来、私は何が必要かという点だけを明瞭にし、
「政治的に可能」かどうかは気にしないようにした。

何かが必要なら、それは可能だし、
なんとしても実現させるべきなのだ!


ジェフリー・サックス『貧困の終焉~2025年までに世界を変える~』(鈴木主税/野中邦子訳・早川書房)p.161、170


[2009年5月17日 (日)元投稿]
(「ココログ「としま腐女子のいろいろ読書ノート」より引っ越し)