私はしばらく間をおいてから、冷ややかに答えた。
「ああ、やっとわかりました。あなたがいまいったことを、
ボリビアの友人たちに説明させてください。
あなたはシティバンクに電話して、
ボリビアの政策が適切かどうか尋ねるつもりなんですね?
つまり、IMFの債務戦略は銀行の思惑しだいということですか?」
代表団長は怒りをあらわにして本を閉じ、
立ち上がって、話し合いは終わりだった。
(中略)
ところが面白いことに、それ以後、IMFは二度とボリビアに
利子支払い再開の要求をしなくなったのだ。
(中略)
たぶん未熟さゆえだろうが、
私は赤字削減のために型破りな方法が
必要だと思っただけでなく、
それが可能だと信じた。
そんな思い込みは結局、正しかった。
それ以来、私は何が必要かという点だけを明瞭にし、
「政治的に可能」かどうかは気にしないようにした。
何かが必要なら、それは可能だし、
なんとしても実現させるべきなのだ!
ジェフリー・サックス『貧困の終焉~2025年までに世界を変える~』(鈴木主税/野中邦子訳・早川書房)p.161、170
[2009年5月17日 (日)元投稿]
(「ココログ「としま腐女子のいろいろ読書ノート」より引っ越し)